介護の仕事に携わって、もう25年近くになります。始まりは、祖母が病気で倒れたことでした。当時、私は何の資格も持っておらず、家で何もしてあげられなかったという後悔が残っています。
祖母が自分でトイレに行こうとして膝に擦り傷をつくっていたのを見たとき、「自分に知識や資格があれば、何かできたかもしれない」と強く感じました。それが、介護の道に進む原点になりました。
最初に介護の現場に触れたのは、祖母が入院していた病院でした。とても親切な看護師さんがいて、私にもお手伝いをさせてくれたことが印象に残っています。その経験もあり、介護職として資格を取る決意をしました。介護の資格を取得して訪問介護の仕事を経験し、その後、しまナーシングホームに入職。それからずっと、ここで働いています。
日々の仕事で大切にしているのは、「気持ちを届けること」です。認知症の方でも、笑顔で接すれば笑顔を返してくださる。その瞬間に、言葉を超えた信頼関係を感じます。ご入居者様に「名前は忘れてしまったけど、顔は覚えているよ」と言ってもらえることもあります。それだけで「心が通じている」と感じられて、すごく嬉しいです。
季節ごとに施設内に花を飾っているのも、気持ちを届けるための工夫のひとつです。飾った花を見て「きれいね」と笑顔を見せてくれる方がいたり、涙ぐむ方がいたり。小さなことかもしれませんが、花があるだけでその場の空気がやさしくなる。そんな場面に立ち会えるたびに、「この仕事を続けていてよかったな」と感じます。
光が丘には、長く勤めているスタッフが多くいます。人間関係がよく、落ち着いた雰囲気のなかで仕事ができることは、本当にありがたいことです。派遣の方から「こんなに人がいい職場は初めて」と言われることもあります。
主任という立場としては、そうした職場環境を守り育てることも大切な役割。注意やアドバイスが必要な場面では、相手の気持ちに寄り添いながら声をかけるよう心がけています。介護度の高い方も多く、緊張感のある現場ではありますが、だからこそチームで支え合うことが必要です。職員同士がバランスよく動き、困ったことは一緒に考える。そんな関係が築かれているのが、「しま」のよさだと思っています。
介護士の仕事は決して楽なものではありませんが、それでも「髙橋さんがいてくれてよかった」と言っていただけると、本当に嬉しくなります。お世話することが好き、人が好き。それが、自然にこの仕事を続けられている理由です。これからも、笑顔が生まれる場づくりを、仲間と一緒に積み重ねていけたらと思います。